2017年夏北海道2日目

朝からもう降り出しそうな雲行き。

7時過ぎにホテルを出て近所のハセガワストアへ。ここでやきとり弁当を作っているのだが、これを朝食にする。ラッキーピエロが函館にしかないように、ハセガワストアも函館を拠点にしてがんばっている。

店内で元気に焼いている。隠し味ははこだてワイン!

北海道でいうやきとりは、豚である。店内でもうもうと煙を出して焼いてくれる。ストアというだけあってスーパーの役割もあり、セイコーマートと提携しているらしくてセコマ印の商品も置いてあった。部屋で食べるつもりだったがイートインがあったのでお茶を1本買い、だんさんはたれ、私は塩だれを選択。あとでじっくり見たら期間限定でたれ塩味噌ミックスというのもあった。

ちゃんと串打ちしてくれてあるが、溝を利用してふたでおさえて串を回して抜くのがマナーのようなので説明を見ながらやってみる。おお、面白い。

お弁当箱にこのように溝が。きれいに取れました~。別添えの紅ショウガをそえる。

ご飯の上の海苔がまたたれとあう。塩だれにはニンニクが入っているようだけどそれほどきつくなかった。それよりしっかり塩味がして、一口めは少しびびった。最近では珍しいくらいの濃厚味付け。が、食べていくうちにこれがくせになるのであった。

ホテルに戻る道中しっかり雨が降ってきた。がっくし。

ロビーにある無料コーヒーをもらって部屋に戻って朝ドラを見る。どうやらずっと雨のようなので、連泊でもあることだしホテルでビニール傘を借りて出発。五稜郭や函館の坂道、ベイエリアは以前来た時行ったので今回は割愛。それに前は車なしプランだったので市電の範囲で遊んでいた。少し遠出してみよう。

ということで、市電と並走しながら函館の街を車で進む。そのうち海沿いに出て、この天気だが一応行ってみようと立待岬へ。

柵がイカ。どこまでもイカの街。

当然ながらものすごい強風。なんとか写真だけ撮って車に戻る途中傘の骨が曲がってしまった。すまん、とホテルの方向に頭を下げておく。

ぬれるし風も強いし、寒い。でも東京のあの蒸し暑さを思うと天国のようだ。曇天と雨の繰り返しだけど。

途中見つけた函館八幡宮へ。

一目で他とは違うと感じる優美な屋根の社殿は大正時代のものだそうで、大正式八幡造というそうだ。それの代表格といわれるのがこの函館八幡宮だというので、来てよかった。

車を海沿いに走らせ、アーチ橋を探す。雨がひどくなってきた。グーグルの地図をにらんでいると橋があった。少しへこんだスペースがあるので車を止めて降りてみる。旧戸井線コンクリートアーチ橋といってちょっとした遺跡の雰囲気を醸し出しているスポット。五稜郭と戸井を結ぶ予定で作っていたのだがいろいろあって結局開通せず一度もこの橋を列車が通ったことはなかったというなんとも残念なところ。ちょうど戦時下に造られ、鉄は使っていないという。

ザーザー雨の中、写真を撮ってさっと車に戻って車の中からじっくり眺めてみると産業遺産独特の味を感じるのであった。橋の下から振り返ると海。何も見えぬ。

少し距離があるがラッキーピエロ峠下総本店でランチ…と思ったらものすごい行列。それでもまだエントランスの前に並べる状態だったので傘をさしながら待つ。雨もますます強くなっている。ここまで来ることもそうそうないだろうし次に食べるとしたら市内になるだろうということでがんばって並ぶ。

中に入ると見たかった巨大キリン、巨大椅子などがあってにやにやする。ここでだんさんのiPhoneが突然沈黙。私はandroidなのでよう分からんが、なにか再起動ボタンがあるんじゃないかと思ったがわからん。調べると五稜郭のそばにドコモショップがあり、このあとは街の方に行くことだしまずは店に寄ってみようということに。というか私のスマホでショップを調べるのではなく強制再起動を調べればよかった。

これを撮影した直後iPhoneが沈黙。

しょんぼりしつつ、オーダーの順番が来た。30分は待たなかったと思う。店内を見ると席は空いている。だんさんはチャイニーズチキンバーガーに目玉焼きプラス(竹)、それに食べたいと言っていたチャイニーズチキン焼きそば、私はチャイニーズチキンバーガーチーズ入り(松)、というのにした。あとコーヒーを頼んで席につく。ちなみに特上は目玉焼きとチーズ両方。

店内はおもしろいものがいっぱい~。

喫煙部屋に行くと誰もいない。外の行列が嘘のようだ。

座ったテーブルの番号を書いてカウンターに持っていくとテーブルに持ってきてくれる仕組み。メモを持っていくとありがとうございます~の声。

どんどん作っているのかさっと品物がやってきて、お昼。チャイチキ久しぶり~おいしい~でも焼きそばはやりすぎだったと思う。チキンは平らげたが麺は最後まで食べられなかった。鉄板で持ってきてくれるおいしい焼きそばだった。ポテトやアイスがおいしいのも知っている。でも胃が。今日の夜は寿司屋を予約していることだし、自重。しかしこんなに大きかったっけ、ハンバーガー…。

店内もうなにがなんだか。

一応、バードウォッチングがテーマなので鳥がたくさん。

店を出るときは行列はさらに長くなり、どしゃぶり。

五稜郭の方に戻り、ドコモに駆け込む。強制再起動を教えてもらって無事復活。北海道で得た新たな知識。

車を置いて市電でうろうろする予定だったが雨が降ったりやんだりなので、車のまま旧相馬邸へ向かう。お金持ちのおうち訪問。

大泉洋ちゃんも来ていたところだ。

ここでまた雨が強まる。

お金持ちの家だがにしん御殿ではない。越後から出てきて函館戦争になる前にお米を買い集めて、果たして戦争がはじまると米が値上がりして…というものすごい賭けをして財を成したという、聞くだけでワクワクするような話なんである。で、それをもとに素早く金貸しに転向してニシン漁に投資して、漁師さんに良心的な条件で貸し付けをしてさらに財を膨らませたという。

御屋敷は明治40年の函館大火のあと、倹約家だった相馬さんが復興のために、みんなのお仕事を作るためにでっかく建てたという意味もあったんだとガイドさんが言っていた。洋室もくっついている和洋折衷だがほとんどが和風。

決して華美ではないのだが、どこもかしこも技術の粋が凝らされていて欄間や障子の細工、釘隠しなどはいつまで見ていても飽きないほどだった。材料もとてもよくてどこにも節のない木が使われていて、しかも1本の木で継いでいない大柱はまるで天守閣レベル。それがまったく節がなくて汚れのない木なもんだから、きっと今はこんなの作れないであろう。床の板だって節もなくつるっつる。

さらに焼けた会所のあとに建てた函館公会堂も相馬さんが大半を寄付してできたんだそうで、倹約家だけど後半生はどーんと寄付をしていた人物だった。


長くて全景が入らない家。


木造家屋だし元が越後の人だから寒さには強かったのかもしれないけど、とにかく冬は外と変わらないくらい寒い。なので冬は公開していない。囲炉裏をきった部屋の上に穴があけてあり、そこへ立ち上っていく煙で上の部屋がほんのり温まったという、局所的セントラルヒーティングも導入されていた。

行く前に調べて仰天したのはこの屋敷が今は相馬一族の手を離れ、公ではなく個人が所有して公開していることだった。ものすごい熱意。相馬家が東京に引き上げるというので、売り出したあと不動産屋が鍵をもってたんだけど内部は荒れ放題になってしまった。もともと函館に住んでいた方がすごく気になって市にかけあったりしたんだけど、うまいこと保存の方向に話がいかなくてえいっと自分で買い取ったのだそうだ。今は市の協力も得られているそうだけど瓦のふきかえの寄付を募っていた。入場料800円、納得。


調度品は相馬家が東京に持って行ったり売ったり。そのうちのいくつかを探して買い戻して展示しているそうだ。男性用厠の小便器は一見して「いいですなあ」といいたくなるような上品な青磁で、これは買い取った人がきれいに洗った後花入れにしていたんだそうで。確かに花器にしてもおかしくないものだった。無事買い戻して元の場所にある。トイレは水洗ではないため始末するところで驚きの仕掛けがいろいろあったがそれはさておき、私が腰を抜かしそうになったのはトイレの腰壁、床が春慶塗だと気付いたときであった。明るい色だけど、まさかね、と思ったらガイドさんがさらっと春慶塗ですというのでひぃいって声をあげてしまった。ここは書院なのか。床の間なのか。ここも一枚板。にしん御殿によくある有田焼の便器もすごい絵がかいてあるけど、相馬さんちそれとはまた違ってすごいトイレ作った…。


洋室の扉が引き戸になって完全に壁に隠れるようになっていたり、その取っ手がさりげなくクリスタルガラスだったり、二重窓になっていたり、お風呂は殿様の使うお風呂みたいでヒノキだったり、炭をいれて温めてお湯にする給湯機があったり、桟という桟は障子も含めとにかく面取りされまくって痛くないようになっているし、なのにそこに意匠が組み込まれていてどうやって作ったのか全然分からない。久々に建物に圧倒されてしまった。

屋敷が出来てからも火事はあって、屋根裏に火が入り込んで梁が真っ黒に焼けたところをうまいこと見せるようにしてあった。覗き込むとまっくろくろすけの梁がいくつも。必死で消したんだそうだ。そらあ必死ですよね…。

土蔵はなんの傷もなく残っていて、木の香りが瑞々しいのに驚いた。土蔵は建てたときのまんまです、とのこと。ギャラリーになっていた。こりゃあ美術品を保存するのに最高の場所でしょうなあ。


と、ガイド付きで大変分かりやすかったのでお勧め。内部は写真撮影不可。

洋室部分の外側はこんな感じ。

大胆にもイギリス領事館を見下ろす坂の上にある。あちらが一度引っ越して、上に相馬さんちが建って、その後またこの場所に戻って来たから領事館が文句言ったってしょうがない。引っ越さなきゃよかったのに。

坂をぷらぷらと下りながら(基坂の途中の観光用駐車場に止めた)相馬邸の公開は8年目というから、前イギリス領事館でお茶をしたときは10年以上も前、そのころは御屋敷が荒れ果てていた頃かなあと考えてしまった。こんなお屋敷があるなんて思いもしなかった。

公会堂が坂の上に見えるがけぶっちゃって独特の壁の色もよくわかんない天気になっちゃってる。この辺は歩くと面白いんだけど以前行ったこともあるし天気のいいときにまた、ということで。

雨はしつこく降っている。

車窓から日本最古のコンクリート電柱を見る。現役。立派だなあ。円柱ではなく、角柱。

寒いけど青函連絡船摩周丸を見学に行こう。この毛布アート、船に乗るとよく見る。

補助汽船の錨。

夜ここの甲板に立つとここからも夜景がきれいに見えるそうだ。五稜郭タワー、函館山山頂、摩周丸が函館三大展望台。しかし雨ばかりで何も見えぬ。

貨車を運べるので相当でっかい。はしからはしまで歩くとけっこう大変。

座席のつくりは昔のJRという感じがして懐かしい。椅子のない、棚と絨毯敷きだけの普通席も再現してあってちょっとした船旅気分。

戦前の船長さんの制服がかっこいい~。

記念撮影。雨がひどくて船の全景が撮れなかった。

一度ホテルに戻り、寒かったので温泉であったまってから徒歩数分のところにある寿司屋へ。鮨金分店。


カウンターに座って陽気な親方と陽気な常連の会話を聞きながら、お刺身でスタート。貝が好きだというとどんどこ貝が出てきて、あまりのおいしさに写真も撮る暇もなく食べるのであった。

握りはお任せセットにしたが何貫出たか覚えていられないほどたくさん並び、どれもこれもぴっちぴちだった。最後はもうおなかがはちきれそうに…。シャリは小さめでネタが大きい。


途中で中国人の一人旅の青年が入ってきて皆にいじられながら楽しく食べていた。他は毎年来るというGLAYファンの女性たち、お座敷にもお客さんが入っていて繁盛していた。


ホテルまで徒歩数分でよかった。戻って今日も昏倒。海の幸ありがとうございます~。

ニッポンの旅

とにかく国内しか旅行しない主義。 城と温泉があればふらふらと、テリアのぬいぐるみを連れて出かけます。 以前の記録はこちら。 http://88782276.at.webry.info/